葬儀でのトラブルは、国民生活センターに寄せられている件数だけで1年間に700件以上あります。
厚生労働省の報告によると2016年の日本の死亡者数は129万人、比率で考えると0.0005%の方が葬儀でトラブルを経験しています。
ほとんどの葬儀業者は遺族の方に喜んでもらおうと仕事をしています。しかし、葬儀トラブルがあることも事実で、国民生活センターは葬儀トラブルは放置できないと業者への勧告や、業務改善命令を出しています。
他人ごとではない葬儀トラブル、多く寄せられた項目をチェックする事でトラブルを未然に防ぎたいものです。
今回は、葬儀契約前のアドバイスなどもまとめましたので、最後までお付き合いいただけると幸いです。
葬儀社とのトラブルワースト20
- 義理の父が死亡したので、契約していた冠婚葬祭互助会の葬儀サービスを利用した。しかし、互助会の積立金だけでは葬儀がまかなえず、高額な支払いとなり不満だ。
- 父の葬儀を母が冠婚葬祭互助会を利用して行った。請求書が来たが、積立金で金額を充当するはずの祭壇が割引きにしかなっていない。納得できない。
- 互助会を利用して葬儀をしたところ、事業者に不手際があったので請求金額の一部のみを支払ったが弁護士から請求通知がきた。
- 生活保護を受けていた父親が亡くなり長男が葬儀を依頼した。葬儀社が葬祭扶助の申請をすると言うので依頼したが入金されない。
- 母が老人ホーム入居直後に急死した。施設が紹介した葬儀社で弟の名で家族葬をしたが高額だった。説明と減額を求めたい。
- 母が亡くなる前に、葬儀会社と見積りを3回して契約した。事前打ち合わせには入っていなかった項目の料金を請求され、最初は入っていなかった料金がいつの間にか加算されていた。支払うことに納得がいかない。
- 契約した葬儀社とは別の葬儀社に誤って連絡してしまい、結果的に葬儀社を重複して依頼してしまった。途中で断った葬儀社から高額な料金を請求されている。減額できないか。
- 主人(妻)の意向で、家族葬を行ったのですが少人数で寂しげな葬儀になってしまいました。主人(妻)は成仏できたのでしょうか。
- インターネット葬儀社紹介サイトで、3件紹介された内の1件と契約をした。契約通りの施行ではないにも関わらず脅迫的な取立てにあっている。
- 父親の葬儀の際、遺体を葬儀社の安置室に預けたが、葬儀社の勝手な判断で第3者に面会させたことが納得いかず、葬儀社に謝罪を求めたらひどい対応をされた。業界団体として指導してほしい。
- 葬儀をしている最中に親族、会葬者に葬儀の会員になるよういわれた。非常識である。
- 特別な事情だったので亡くなったことを伏せていたが、突然ダイレクトメールがきて驚いた。個人情報が漏れているのではないか。
- ご遺体の搬送料金について。チラシに書いてあった料金とはかなり異なり、少しの距離で高額な料金を請求された。
- 病院より紹介された葬儀社に遺体搬送のみ依頼。葬儀に関しては後でとの話で後に断ったところ、キャンセル料として7万円請求された。搬送料ドライアイス等料金は別途支払った。
- 葬儀社で見積を出してもらい場所と日にちを決定したがサインはしていない。しかし、別の葬儀社にて葬儀を施行してもらうことにしたので数時間後にキャンセルの連絡をいれたが、キャンセル料がかかってしまうといわれた。
- 7年前に生前契約をした。今年、葬儀を行ったが、お願いしていたものとは全く異なる内容になっていた。
- 葬儀料金に納得がいかない。家族葬プランで39万8千円とパンフレットに記載があったが、24万円追加されて合計が64万円になってしまった。葬儀は動揺していることもあって、いきなりいろいろ言われても考えられない。パンフレットで見ていたので多くても42万円くらいで出来ると思っていた。葬儀費用だけでもこんなにオーバーしているのに、お坊さんに支払う金額もいきなり葬儀社に言われて30万円渡した。これも合わせたら100万円くらいになってしまう。パンフレットに金額は全て記載しなくても違反ではないのか。
- 葬儀を依頼した際、当初の説明よりも追加料金をどんどん取られ最終的な金額は当初の2倍以上であった。
- 互助会の解約について、解約の手数料が高額すぎる。どうにかならないか。
- 葬儀を冠婚葬祭互助会で行った。追加料金が多くてびっくりした。業界ではこんな多くの追加料金はよくあるのか。
【参考:独立行政法人 国民生活センター】
オレンジ色以外、お金のトラブルが多いんです。説明不足、感情のもつれ、配慮の無さ、契約不履行などが目立ちますね。
国民生活センターに寄せられた相談件数の推移
年度 | 2012年 | 2013年 | 2014年 | 2015年 | 2016年 | 2017年 |
---|---|---|---|---|---|---|
相談件数 | 704件 | 730件 | 724件 | 764件 | 715件 | 273件(前年同期291件) |
1年間で700件の相談件数が寄せられています。また、2012年から比較して、相談件数は減っていません。
つまり、現時点で問題は何も解決されていないということです。そのため、私たちがトラブルに巻き込まれないように、知識を得て自分を守る以外方法はないのです!
葬儀でトラブルが起こりやすそうなことを事前に知っておくことが重要になってきます。
関連記事としてお読みください
【 葬儀の事前準備/お葬式の基礎知識と費用の備えに関することを解説! 】
違約金が発生する?契約前の違約金とは?
違約金に関するトラブルも多く、契約のサインをした時点で葬儀依頼の契約が成立します。違約事項は業者側が有利な内容になっていて、違約金事項が記載されているケースもあります。
反対に言えば、契約する以前に信頼できる葬儀業者か見極めてから契約すれば何も問題は発生しません。
事前に葬儀業者の選定や見積もりをして準備をしていた方は問題ないと思いますが、故人が逝去されてから葬儀業者を決め、そのまま契約をしたものの、対応や仕事内容に不満を感じる、これがトラブルの始まりです。
契約後のキャンセルは不可能ではないものの、すでに利用したサービスの支払いや精算も発生しますし、余計なエネルギーを使います。決して得策ではありません。
相談で多いものに、契約前から違約金が発生と言われてしまうことがあるようです。このような場合は冷静に対応していきましょう
【参考:お葬式の資料請求をして感じたこと 私たちは準備不足なのです!】
見積書のトータル金額をチェックしましょう
金銭にまつわるトラブルは必ず書面で見積りをもらう事。
葬儀に関し追加料金が無いか確かめ、ご会葬者人数の変動による差異以外、金額の変動がない事を確認書としてもらいましょう。
葬儀社にとって僧侶や料理、返礼品などは全くの別計算として扱う傾向がございます。
しかし、あなたにとっては料理も寺院への支払いも葬儀費用の一部ですよね。この感覚の違いがトラブルの原因でもあります。
葬儀費用の内訳についてはこちらの記事が参考になります。
【 葬儀業界は不透明!?葬儀費用の内訳が複雑で理解しにくい理由とは? 】
遺族とすれば、全て含めて幾ら掛るのかが知りたいのですが、認識の違いから生じるトラブルを回避するため、最近では項目を明らかにしてトータル金額を示す業者が大勢を占めています。
『葬儀の打ち合わせと違う施工をされた』『事前の話と違う』などの時は打ち合わせの時に交わした文面や写真を証拠として話し合いをしましょう。
証拠を持っている方が必ず有利になります。だからこそ打合せが重要なのです。
葬儀に対して素人でも説明を受けながらメモを取るぐらいの努力は必要です。
動揺しているあなた一人だけでなく身内の然りした人にも同席してもらいましょう。複数名で打ち合わせを行うことで、お金のトラブルを未然に防げます。
必見!葬儀で失敗しないための知識
葬儀屋さんから祭壇のイメージの写真を見せてもらったとき同時に使用するその式場で、以前飾つた現場写真を2枚以上は見せてもらいましょう。
祭壇費用を抑えることで、小さく寂しい祭壇になることがあります。
- 葬儀全体の事を理解するようにしましょう
- 祭壇を華美に飾れば費用は当然かさみます
- 家族の思いも含めた予算を家族で考えましょう
- 葬儀の後、家族の生活が続く事を忘れないようにしましょう
- 葬儀後納骨・一周忌・三回忌・七回忌法要もあります
- 仏壇・お墓も考えておかないとなりません
- 思い込みは危険です。葬儀屋さんの言葉を鵜吞みにしないで下さい
日本全国の葬儀屋さんが、良心的で丁寧なら問題はありませんが、現実は、利益主義になっている業者もいることは事実です。
疑問があればどんどん尋ねましょう。特に葬儀費用に関しては遠慮することはありません。葬儀に対して知識が無いと思われれば、金額を吹掛けてくる場合もあります。最低限の知識は知っておきましょう。
葬儀費用とは葬儀必需品、葬儀付帯品の事で業者により呼び方はまちまちですが、他にお手配品、直接手配品などがあります。簡単な一覧を下に出しました。
葬儀必需品(葬儀に絶対必要なもの)
※火葬費・棺桶・ドライアイス・搬送車・骨壺・人件費
地域により火葬費は違いますが、大体10万円前後。東京都の場合、火葬場は一般の企業法人が運営しているため15万円ほどです。
葬儀付帯品(葬式をするには必要)
遺影写真・祭壇(白木・生花)・白木位牌・経帷子・焼香セット・会葬礼状・枕飾り・後飾り・備品消耗品費なども必要になります。
どんな祭壇にするかで値段が違ってきます。金額的には30~100万円くらいで、他の商品は全部で10万円くらい見込んでおけば十分でしょう。
お手配品(外部に発注する事がほとんど)
※供花・供物・料理・返礼品・お寺さんなど
個々に金額がかさみますので注意深くメモに取りましょう、最近行った葬儀写真を確認する事も好い参考になります。
葬儀業者の多い言葉に、故人最後の旅立ちでございます
思いを残すことなく、故人の供養になりますので、しっかりしたお見送りにして差し上げましょう
オプション料金で悩んでいるときに、このように呼びかけてくることがあります。
葬儀内容を決めるのは、あなたご自身です。
葬儀費用については、こちらの記事でも解説していますので参考にしてみてくださいね。
【参考:葬儀費用の平均金額はいくら?葬儀次第で20万円~200万円の差!】
トラブルの多くは、葬儀費用が明確でないこと!
葬儀打合せでは、葬儀必需品+葬儀付帯品=葬儀費用として説明する傾向があります。
葬儀終了後の請求書は、葬儀必需品+葬儀付帯品+手配品=葬儀費用として請求される事となります。
葬儀の事で分からないことは恥ずかしいことではありません。何が分からないのかハッキリさせましょう。
葬儀に詳しい人は、ほとんどいないことを葬儀社も知っています。だからこそ、懇切丁寧な明瞭会計の葬儀社選びが大切であり必要なのです。
長年にわたり葬儀業を営んでいるからとか、互助会だからとか、テレビコマーシャルで有名で知名度があるからなどの安心感はもう終わりました。
安くてより良いものを提供するのは価格も含め、情報を公開し項目の詳細を提示してくれる業者です。
これについては、口コミや実際に利用した人の満足感から葬儀社を選んでいくしかありませんね
葬儀はほとんどが突然に訪れるものです。何の準備もしていないことが多いでしょう。
親身になって、どんな相談にも快く乗ってくれる葬儀屋さんがいれば、そんな心強いことはありません。
葬儀でトラブルになるものは『お金』に絡むトラブルです。
その問題は葬儀業界の見積もりの不透明さ、葬儀費用の内訳の複雑さが指摘されています。
こちらの記事では葬儀費用の内訳について詳しく解説していますので、併せて参考にしてくださいね。
【参考;葬儀業界は不透明!?葬儀費用の内訳が複雑で理解しにくい理由とは?】
会葬者に対する配慮の無さによるトラブル
葬儀式には葬儀社だけの職員だけでなく、返礼品(お茶屋・海苔屋)/料理屋の配膳係・案内係・搬入係/司会者・場内整理係。
葬家がお願いした受付係など裏方として、目立たない存在として働いて頂かなければなりません。
どの様な立場で葬儀を裏から支える人がいてこそ、スムーズな進行が保たれるわけです。
現場でただお願いしただけでは不十分でしょう。係についた人達が悩まないで、作業を進められるように懇切丁寧な説明と、合間合間にお声をかけ、状況を説明して全体の動きが分かるようにしてあげることで、やり甲斐が生まれ頑張って頂けるものです。
ご会葬者に関しては、常に目を凝らして、記帳所はスムーズか、焼香に支障がないか、返礼品は漏れることなく行渡っているか。
足の悪い方・高齢者等に不自由はないか、喫煙所・トイレなど探している方はいないか。
ご葬家に対しては、説明はしたが不安を感じていることがないか、動いて頂くとき、先に先に担当者が目を配らせているか。
葬儀式の間、担当者は瞬時たりとも気を緩めてはいけないのであります。余裕をもって気を貼り続けていないと、瞬時に対処できません。
ご葬家のために、ご葬家のためだけに、担当者が存在しているとの使命感を持った葬儀社に遭遇出来たら、トラブルは起らないはずです。
是が非でもよき葬儀社が見つかることを願っております。
今後、皆様が葬儀トラブルに遭遇しないよう、心よりお祈りしております。
あなたのお役に立ちたいと願わずにはいられない、佐々木でございました。