医療保障付き民間保険と公的医療保険との違い
初・再診料や手術料、投薬注射料、入院料など、治療にかかわる主な費用には、公的医療保険が適用されます。
また、高額療養費制度は、所得に応じて限度額以上の医療費の自己負担額が減免される制度ですが、申請が必要です。
しかし、入院中の食事代や差額ベッド代、保険の利かない医療機器や薬を使った検査・治療などは全額自己負担になります。
民間保険は、こうした公的医療保険では賄えない費用や、医療費の自己負担分の支払いを補助します。
また、診断されたとき、入院・通院のときに、診断内容や入院・通院期間によって、具体的な用途を定めずに支払額を定めており、治療や療養にかかる負担を軽減しているものもあります。
民間保険の特徴と種類
民間保険は、商品によって保障内容などが大きく異なります。このため、まずは自分の契約している保険の内容を確認し、支払い対象になりそうな給付金・保険金があるか、また保障期間、条件などはどうなっているか、契約書類にしっかり目を通すことが大切です。
通常、民間保険は契約の本体である“主契約”と、上乗せ(オプション)部分に当たる“特約”から成り立っています。
病気による入院などを保障する保険(主契約)には、「医療保険」「がん保険」「特定疾病保障保険」があります。
一方、医療に関連する特約は、医療保険だけでなく生命保険(死亡保障)などにも付いていることがあり、その種類はさまざまです。
がんを保障対象とする保険・特約の特徴
主な給付金・保険金の内容について
商品により、保障される給付金・保険金の内容・支払われる条件などには違いがあります。
民間保険の給付金・保険金
がん保険の対象となる“がん”は、保険の種類や保険会社によって、その範囲が異なる場合があります。
特に初期段階のがんである“上皮内がん用語集アイコン(上皮組織にとどまって浸潤(しんじゅん)していない状態のがん)”を対象とするかどうかは、会社によって異なりますので、ご注意ください。
また、加入する保険が1つでも複数の給付金の対象になることもあります。
最近では、請求漏れがないように確認してくれる保険会社もふえていますが、自分に該当する給付金はあらかじめ確かめておきましょう。
給付金と医療費控除
民間保険の給付金などを受け取った方は、その給付の目的となった医療費から、給付金などの額を差し引きます。
支払った医療費よりも給付金などが多く、差引額がマイナスになった場合、その医療費はゼロ円と見なして控除の計算から外します。
例えば、入院給付金をもらった場合、入院にかかった総医療費から差し引きますが、その額がマイナスになった場合にはゼロ円と見なして、入院費以外の医療費控除は別に計算されます。
入院した場合の保障
入院給付金
入院日数に応じて、1日単位で設定された額が支払われます。
ただし、治療を目的とした入院が対象のため、検査入院や介護を主な目的とする入院などは対象外です。
緩和ケア病棟(ホスピス用語集アイコン)については、商品によって扱いが異なります。
支払い限度日数が設けられているのが特徴で、入院して何日かは保障の対象にならない商品もあります。
がん入院給付金
入院給付金と基本は同じですが、支払い限度日数がなく何日、何回入院しても日数分の給付金が受け取れるのが特徴です。
特約では、医療保険などのように支払い上限のある商品もあります。
がんと診断された場合の保障
がん診断給付金
がんと診断され、一定の条件を満たすと支払われます。
一度給付された後、一定期間がたてば、何回でも支払われる商品もあります(複数回給付)。
特定疾病保障保険金
がんと診断され、一定の条件を満たしたときに、支払いの対象となります。
手術を受けた場合の保障
手術給付金/がん手術給付金
手術の種類に応じて決められた額が支払われます。
放射線治療も対象にしている商品もあります。
退院後の保障
がん退院療養給付金
がんで一定期間入院し、退院した場合などに給付されます。
通院給付金/がん通院給付金
入院を経て、退院後一定期間内に、同じ病気の治療のために通院した場合などに支払われます。
民間保険について知りたいときには
相談窓口(生命保険に関する相談、照会)
各保険会社では、相談窓口を設けています。わからないことがあれば、相談してみましょう。そこで解決できなかった場合には、下記のような相談窓口も利用できます。
◇一般相談 ◇一般相談・苦情
(財)生命保険文化センター
(社)生命保険協会生命保険相談所
相談専用電話(直通)03-5220-8520
電話 03-3286-2648(本部相談室)
保険の用語
民間保険の保険内容を規定している約款などには、専門用語が数多く使われています。代表的な用語について簡単に説明します。
被保険者…保険の対象となる方。
保険契約者…保険会社と契約を結び、保険料支払いの義務を持つ方。
受取人…給付金・保険金を受け取る方。
1入院…1回の入院という意味ではなく、一定期間内に同じ病気、けがで入院した場合をいいます。
退院から一定期間(主に180日)経過しないうちに、病気の再発で再入院した場合、前回の入院と合わせて1入院とされます。