家族葬はこの10年で倍増を続け、令和の時代葬儀全体の4割を超える勢いであり、今後益々増加の一途をたどる勢いです。
何故家族葬が近年このように受け入れられて来たのでしょうか?その要因としてあげられる幾つかのケースをチェックして家族葬がよりよく費用面でもやってよかったと思える葬儀になるためのご説明を、多岐にわたり注意点を踏まえながらお話しさせて頂きます。
お葬式の種類についてはこちらの記事で詳しく説明しています。併せて参考にしてください。
家族葬とは
家族葬は親族(親戚)・近隣の知人を交えない、近親者(友達を含めた、ごく近しい血族)のみで営まれるお葬式で、参加人数は20名前後が多いようです。
以前は密葬の一部のように扱われていましたが、ここ10年程前から家族で執り行われる葬儀が急激に増加し、家族葬として認知されるまでになりました。
広くお声がけをして行われている一般的な葬儀が大勢を占めていましたが、行なわれる件数は年々下り傾向と言えます。
下落傾向とは言え、全国的には4割以上が一般葬でいとなまれております。地方都市にお住いの方々に、家族葬への理解が浸透していないのも現実的な事実です。
都市部と地方地域の間には、いまだ認識の上にギャップがあり、親族間でのトラブルが報告されています。地方に年配の親戚のいらっしゃる場合は、事前に理解を求める姿勢が大切です。
家族葬を選ぶ理由として
- 葬儀費用を抑えたい。身近な近親者とだけで、故人と最期のときを過ごしたい。縁の薄い参列者に、気を使いたくない。
- 高齢化した親戚・(距離・縁)の遠い親戚に、負担(お金と時間と体力)をかけさせたくない。故人が長寿であったため、退職してから年月が経ち、縁が遠のいている場合など。
- 近年希薄になったといわれる三つの(血・地・社)縁。親戚・地域・社会とのつながりを、わずらわしいと感じる人が増えてきたこともその要因の一つでしょう。
- また意識の中での宗教離れです、僧侶の必要性を感じない世代が台頭してきたことで、僧侶を招かない家族葬も増えてきたのだと判断しています。
- 最近特に感じるのが、女性の意識の中で息を引き取った姿・顔を他人に見られたくない。美しい姿のままで記憶に残りたい!そんな願望が強いのだと感じています。
- 葬儀のあり方・形を考えたとき、家族葬は現代人のニーズに最適な葬儀形態の一つといえるのではないでしょうか。家族葬には多くの利点もありますが、欠点も顕在化しており、遺族みんなが理解したうえで、執り行われることを強く要望致しております。
家族葬の利点を際立たせるためにも、家族葬が抱える欠点を知り補うため、より一層の知識を深めなければいけないのではと痛感します。
家族葬で行うには、どうような手順で行なえばいいのですか?
年間26万件以上執り行われている家族葬ですが、4割強は宗教者(僧侶)を招いてのご葬儀になります。場所的には、自宅や小規模なセレモニーホールやキリスト(カトリック・プロテスタント)教会・お寺で行われております。
こうした宗教者のもとで行われる葬儀に関しては、葬儀社の司会進行のもと宗派の作法に則り粛々と進められますので、一般葬と同じように問題なく葬儀を終えることができます。
問題として扱われるのが家族葬の内、年間14万件以上(5割強)の遺族の方が、宗教施設を利用しない、宗教者を招かない無宗教で行われたお葬式です。
アンケート調査で、後悔したと回答された方達の意見は次の通りでした
「僧侶なしで格式がなく、充実感が湧かなかった」
「故人が浮かばれないと、親族からクレームがあった」
「思ったほど葬儀費用が安く出来なかった」
「故人に会わせたかった人を、後で思い出した」
「故人との別れに、まだ区切りがつかない」
「寂しすぎた」
家族葬はダメなお葬式なんですか?
『誰にも気兼ねしないで見送れ、肩のこらない葬儀になった』
『親しい人とじっくりお別れができ、満足できるお葬式でした』
『親戚にあれやこれやの指示をされずに済んだ』
『高齢化した伯父(叔父)・伯母(叔母)に負担をかけずに済み、葬儀費用も安くて助かった』
『参列者から、自分のときも、こんな葬儀にしたいとの声をうかがった』
『親族も満足していた』など満足のお声も多くいただいています。
予算もないので、お坊さんを呼ばない葬儀をしたいのですが、どうすればよいのですか。
加藤さんと同じ質問が多く寄せられています。お答えする前に下の黄色い枠をご覧くださいね。
あとでご質問にお答えさせて頂きます
満足度をあげるための確認事項
〖事前の予備知識として、運営する業者の資料を請求しましたか〗
〖遺族で事前に、家族葬について話し合い、近親者にも相談しましたか。〗
〖親族に事前の承諾を得る努力をされましたか〗
〖家族葬で執り行う承諾を事前に求めるのと事後とでは、受け止め方が変わるものです〗
〖葬儀の予算を相場と照らし合わせて、明確にできていましたか〗
〖ただ僧侶だけ呼ばなければよいと思っていませんでしたか〗
〖葬儀社と事前に綿密な企画を立て、相談していましたか 〗
〖葬儀社に、全て丸投げしませんでしたか〗
〖葬儀担当者と遺族の間で意思の疎通が図れていましたか〗
〖ただ費用が安く済めばよいと思っていませんでしたか〗
お読みいただけましたか。
故人様にとりまして、一生に一度のことでありあります。またご遺族様にとりましても、大切な人をお見送りをする、大事なご葬儀でございます。
ご葬儀に対し知識を求めず、何の準備もしないままで、執り行う事は無謀なことになります。悔いを残さないためにも、僧侶をお招きして行われることの方が、無難なご葬儀になると思いますよ
どうしても家族葬をお望みでしたら、次の留意点をしっかりお読みいただいてから取り組んで頂きたいと念願いたしております。
尚個別にご質問があれば、下記のクリックボタンでご質問ください
どのようなお葬式にしたいですか
無宗教で行いたい旨をハッキリと葬儀社に伝えましょう。葬儀進行の方法に違いが生じます。直前でなく事前に伝えることは大事です。
今あなたが思い描くお葬式を抽象的でも良いので、メモって下さい。
例えば、
- 思いが故人に届くような。暖かい感じのお葬式にしたい。
- 趣味が囲碁でした!。
- こんな花が好きでした。など項目は多い方がよろしいでしょう。そのメモを片手に葬儀社の担当と意思が疎通するまで打合せをして下さい。
予算を決めましょう。
事前に葬儀の相場を知ることが大切です。そのうえで、ご遺族がご用意できる金額と照らし合わせます。
この予算でできること、出来ない事の見極めが大切です。
葬儀の相場を知るためには、なるだけ沢山の資料を取り寄せておきましょう。資料を読むことでかなりの基礎知識が蓄えられます。
葬儀社により違ったニュアンスの言い回しがありますので言葉になれることも重要です。
〇〇コース・〇〇セット・〇〇プランといった価格を設定しているものがございます。ただ価格だけを見て判断しないで下さい。設定内容には、葬儀社により含まれるもの、含まれないものがございますので、そうした確認を怠らないで下さい。
例えば、『搬送回数が1回だけか、2回まで保証しているか。』『ドライアイスが1日分か、2日分か』『冷蔵保存を含む・含まない』『生花はどの程度のものが付くのか』『お棺はどのランクを予定しているのか』など基礎商品と付随品を確認しましょう。
事前に取り寄せた資料の中から、2~3社のサービス内容・価格帯を比較チェックして、具体的に相談しましょう。葬儀社との会話の中で、多少専門用語が出ても、あなたは狼狽(うろた)えることはありません。資料のチェックをすることで、葬儀の基礎知識は身に付いているものです。比較チェックをして、葬儀社に学んでいることも伝えると、より一層価格交渉は効果的ですよ。
加藤様、ご葬儀は葬儀社に値引きを求めなくとも、基礎的相場を知るだけで、遺族の意図しない余分なものは削れるものです。おのずと葬儀費用も驚くほど安くなるものですよ。資料請求はどの葬儀社も無料で発送してくれますので、その点での努力は怠りなくいたしましょう。
家族葬の費用
家族葬を執り行う場合での費用を検証いたしましょう、葬儀にはどうしても必要な基礎的な費用があります。火葬までにかかる費用です。病院や自宅でお亡くなりになり、火葬場へ直接搬送して、荼毘に伏すかたちで、一切余分な費用を掛けないリーズナブルなやり方です。
この費用が17~20万円(生活保護受給者の死亡のおり、区市町村の生活福祉課より遺族に支給される金額が20万円前後です)この基本費用に必要な項目により料金が上乗せされていくのです。葬儀費用はやりかた次第と言われる所以です。
料金の組み立て方をご紹介いたします。
基本費用(20万円)+付帯費用
参列者への接待費(お香典返礼・お清め、精進落とし)
施設使用料(専用式場・教会・お寺)
僧侶へのお礼(お布施・戒名代・お車代)
- 基本費用(20万円)+付帯費用
基本費用で扱われる品々は統一の品ではありません。例えば霊柩車・お棺・火葬炉・骨壺なども上のランクが用意されており、選択次第では2倍にも3倍にも価格は上昇します。
それ以外にも祭壇・供物・遺影・枕飾り・後飾りなど付帯費用が加算費用となります。
- 参列者への接待費(お香典返礼・お清め、精進落とし)
お香典を頂戴したとき、お礼としてお香典返礼を用意する必要があります。金額的には頂いたお香典の3割前後の金額のものとされ、品物は消耗するものが良いとされています。
お返しの時期は、納骨が終了した報告を兼ねて、四十九日(忌明け)法要を終えた後とされています。
最近は手間を省くため、お香典金額の平均値予想の3割相当の金額のものをご葬儀当日(即日返礼)にお香典を頂いた方にお返ししています。
今はこの省略した方法が常態化しています。
お通夜にご用意するのが、お清め料理です。お一人ずつの料理ではなく、盛られた料理を小皿にとりわけ召し上がっていただく形式です。
告別式には、ご収骨終了後お一人様用のお膳をご用意頂きます。単価としては4~5千円ほどの金額が中心的になっています。
- 施設使用(専用式場・教会・お寺)
葬儀の場所を自宅以外で行う場合、式場使用料が付加されます。式場は区市町村の運営(第三セクターも含む)・互助会(葬儀・農協・漁港)・民間などがあり、使用料の価格の違いが生じます。また使用条件が設定されている場合もございます。地元式場の情報は、取り寄せた資料で確認できますので参考にして下さい。
宗教施設を利用する場合、各々の宗教により考え方がさまざまあり、宗派を問わず式場として貸し出すとこや、檀家・会員でないと使用できない場所。何れにしても葬儀屋さんは確かな情報を持っていますので、資料を請求した後確認しましょう。
家族葬で葬儀を考える場合、式場の規模は小さめの家庭の雰囲気を醸し出すような場所をお奨めします。大きな式場で家族葬を行うと寂しさが際立ち祭壇などを大きくしたくなるものです。
- 僧侶へのお礼(お布施・戒名代・お車代)
宗教者を招かない場合一切必要のない費用ですが、墓苑などが檀家になっているお寺などでは、戒名がないと納骨させないと主張する寺院もありますので注意が必要です。
仏教で僧侶を招く場合、ご家族が檀家さんになっているか否かで、お布施の金額も違ったものになります。葬儀社依頼の僧侶の場合明解な価格表がありますが、菩提寺の場合には寺の基準によりますので、一概に申せませんが30~50万円は覚悟してください。
【全国平均金額】
調査年度 | 2014(平成26)年 | 2017(平成29)年 |
葬儀一式費用 | 122.2万円 | 121.4万円 |
飲食費用 | 33.9万円 | 30.6万円 |
お布施費用 | 44.6万円 | 47.3万円 |
葬儀費用合計 | 188.9万円 | 195.7万円 |
【参考;一般財団法人日本消費者協会】「葬儀についてのアンケート調査」より
家族葬のマナー
家族葬では極々身近な人だけで、お見送りをするご葬儀でございますので、少数の人数と判断できます。
家族葬を行う遺族は事前に葬儀費用も計算して臨む方が多いので、お香典を辞退されるケースが圧倒的に多いように感じ取れます。
しかし日本では、葬儀にお香典を持参することは慣習化されています。
お香典を受ける、受けないはご葬家の判断でよろしいでしょう。
もし参列される側であれば、お香典は持参された方が無難です。もし遺族がお香典を辞退されていた場合には、素直にご遺族の意向に沿いましょう。
家族葬に際し、伝聞で訃報をお聞きになったとき、ご弔問の依頼がない場合には無理な参列は避けるべきでしょう。
強引な参列は、遺族に対し気持ちの負担を与えることにもなりかねません。弔電を送る程度に留めるべきです。
故人との縁でどうしてもお見送りがしたい場合には、遺族に連絡されてから、火葬炉前でのお別れをされればよいでしょう。火葬される直前に最期のお別れを済ませられます。
また逆にお呼びしていない方の参列を受けた場合は、好意の表れですので、強引なご辞退は避けて丁重に式場に案内される方が無難と言えます。
服装は平服で構いませんが、派手な服装は避けてください。また翌日のお骨上げまでの参列の場合は、火葬場まで同行となりますので、喪服をお勧めします。
ご供花に関しましては、お受けしているケースは多いですね。但し参列へのお誘いのないときには、ご供花などをお送りすることは差し控えた方がよいでしょう。
式場での挨拶は通常のお悔やみを申し述べればいいでしょう。
しかし一般葬ではマナー違反とされる、ご遺族への話しかけについては、葬儀の場での状況判断が必要です。
家族葬にした目的が、故人へのお言葉を期待している場合もございます。
高齢化による参列の難しさ
日本は世界に先んじて、少子高齢化が叫ばれています。医療の発達で間違いなく平均寿命は世界でもトップクラスでしょう。
顧みるに健康寿命はとなると、まだまだ難題が控えています。
この平均寿命と健康寿命との挟間が急速な直葬を促したともいえます。
即ち入院・病気療養の長期化といった現象が生活費の圧迫を招き余分なお金も使いづらい時代といえます。
健康寿命真っただ中の人も年齢を重ねればさすがに人ごみの中は辞退したいですよね。まして遠距離であれば尚更のことになります。
兄弟姉妹であっても高齢には勝てません。最近はどのような葬儀式であっても、故人の兄弟姉妹の参列は少なくなったのも事実です。
高齢化した「伯父(おじ)さん(父母の兄)」・「叔父(おじ)さん(父母の弟)」・「伯母さん(父母の姉)」・「叔母さん(父母の妹)」にお声を掛けづらいですよね。
高齢化したおじ・おばに、わざわざ兄弟姉妹の亡くなったことを知らせなくとも、まして訃報の知らせをして具合でも悪くしたらと思うと猶更です。
無理はさせたくない、大事な親類だからこその配慮がはたらきます。
家族葬の場合どこまで連絡すれば!
【出典:厚生労働省:親族の範囲について】
家族葬で、20人前後でのお見送りを考えるなら、二親等まで位が基準となり、三親等では選別が必要ではないでしょうか。
但し故人の兄弟姉妹と故人の父母の兄弟姉妹には、招く・招かないは別にして、事前の説明と承諾をお忘れなく、故人に対する思いが強い場合が多いものです。
故人の友達に関しては、喪主様のご判断でよろしいでしょう。出来れば故人と喪主様の共通のご友人がいれば、それに越したことはありません。
家族葬まとめ
過去に担当させて頂いたご葬家から、葬儀が無事終了し気持ちも落ち着いたころ、感想を尋ねることがありましたが、ご意見は様々ございました。
いい点では、〖気を使わないで済むだ〗〖見栄を張らないで済むだ〗〖費用が安く済んだ〗
思いが残ったご意見では、〖費用ばかり気にしていた〗〖想像したより、立派な祭壇だったので、もっと多くの人を呼べばよかった〗
ご葬儀の施工に対する意見もありますが、一番大事なことは故人様に対して、喪主様がこころ置きのないお見送りができたか。悲しく寂しいけれど満足できた葬儀になったのか。
葬儀費用だけの選択でなく、故人様にとって最も理想的なお見送りができたのか。こうしたことを問うて家族葬を選択されたことを願っております。
失敗しない・後悔しない・本当に事前に記事を読んでいてよかったとお感じ頂けるように、日々葬儀の記事を磨くため、更新し続けて参りますので、今後とも宜しくお願い致します。
皆様のご健勝を心よりお祈りいたしております。