最近、お香典を辞退する葬家のケースが増えてきています。
故人の遺志であったり、遺族の意向で、会葬者への配慮と会葬者への負担を減らす目的からです。
お香典を辞退するといっても、知り合いの訃報を聞けば、弔問にお香典を持参して参列することが常識でしたので、相手の気持ちになり丁重にお断りしましょう。
一般的な葬儀に比べ、特に家族葬の場合辞退するケースが増えております。家族葬=香典辞退ではありませんが、どの様な葬儀でも、お香典を辞退するときの方法をお話ししましょう。
香典袋の書き方やマナーについてはこちらの記事を参考にしてください。
【参考:香典袋の書き方とマナー:香典で最低限知っておきたいこと】
香典を断る理由は葬家によって違う
香典は長い間に日本の葬儀の常識として根付いてきた文化ですが、葬儀は結婚式のように大きな金額を包むことは稀です。
香典返し、精進落としなどの返礼を考えると香典を受け付けることで、収支がマイナスになることも少なくありません。
経済面の話をすると、香典を受け取ることにより出費が多くなるということです。
また、故人の遺志であったり、遺族が返礼の手間をなくしたい、コンパクトな葬儀にしたいなど香典を断るなど理由はさまざまです。
仮に5千円香典を包んでもらった場合で考えてみましょう。
返礼品に3千円、精進落とし(通夜の後の食事提供)に3千円かかれば赤字です。
2千円ほどの返礼品では質の良くない、『ハンカチとお茶がセット)だったりです。
『それなりの返礼品、それなりの精進落としを提供する』ことで葬家の経済的負担は大きくなります。
ある東証一部上場企業の平均的な香典金額は3千円だという話もあります。
費用だけの話ではありません。葬儀後親族縁者から香典が届けば返礼品を送る必要がありますし、返礼品がなくなっていれば業者に追加発注する必要も出てきます。
このような事情から香典をお受けしないという葬家が増えてきています。また、香典はお断りしていますと事前に通告することで会葬者も参列しやすい環境になります。
香典をお断り・辞退する方法
顕著に増えた家族葬ですが、そこに参列する弔問者の数は、さほど多いとは考えづらいですよね。
直接電話等で訃報のご連絡をするときに、恐縮でございますが、お香典は故人の遺志で、ご辞退させて頂きたい旨をしっかりお伝えしましょう。
お香典や供花などが、郵便書留や生花店から持ち込まれる事もあります。この場合、固辞しないで有難くお受けしましょう。
『どうしても香典を渡したい!』という場合、会葬者の気持ちですから、感謝の気持ちを込めて受け取り、喪主さんからもお礼をするようにしましょう。
ご葬儀では、決めた事であってもトラブル回避のために柔軟な姿勢も大切なことです。
香典をお断りする例文
父が1月15日亡くなりましたので、ご連絡させて頂きました。葬儀は、明後日の17・18日に行います。
生前父のかつての希望が、家族葬で執り行うようにとの事でしたので、父の遺志に従いまして、家族葬で行います。
つきましては是非、山田太郎様にはお時間の許す限りご参列を、お願いしたいと思っております。
17日であれば、自宅に来て頂くような気持で、平服のままお越し下さい。
準備の関係上、時間は17時以降であれば、何時からでも構いません。
18日であれば、出棺が11時でございますので、それまでにお超し願い出来ればと思っております。
先ほども申しましたが、家族葬でございますので、ご友人様へのお連絡などはご無用に願いします。
それと最後になりますが、お香典と供物等も、今回父の遺志でお辞退申し上げておりますので、何卒ご理解頂きますようお願い致します。
香典や供物を辞退する場合、正しい文例などありませんが、丁重な言葉遣いは必要です。また故人の遺志や故人の希望といった言葉を使いましょう。
こちら側の意図をしっかりと伝えましょう。故人の意図であることが何より大事な事なのですから、理解を求めることが大切です。
お香典を辞退するときの受付
受付には、参列して頂いた方々のご芳名(名前)を記帳して頂きましょう。会葬帳と明記されています。あとで会葬して頂いた方の記録帳になります。
受付に黒盆は設置しません。受付の黒盆は、お香典をお受けするときの専用盆だからです。また香典帳も一切用意致しません。
事前に、受付の脇に故人の遺志により、お香典・お供物・ご供花は、ご辞退させて頂く旨の文面を表示すると親切です。葬儀社に言えば準備して頂けます。
受付に立つ方は他人であってもご葬家の代弁者ともいえる方です。
くれぐれも受付でお香典を提出される方に対し、丁寧な対応で、謙虚にご辞退の趣旨を説明頂き、参列者にご理解を頂く努力を忘れずに務めて頂きましょう。
なかにはどうしても、お香典を差し出す方がおります、辞退を決めた事だからといって固辞し続けるよりも受け取った方が良いこともあります。
頂いたお香典に関しては、四十九日法要が済んだ後にお香典返礼として、半値程の商品を文面(奉書紙)を添えてお返ししましょう。
万が一を考えて、お香典の即日返しの品を数個用意する葬家も良く見られますが、それでは主旨が変わってしまいますので、葬儀当日に香典返しの準備は一切無用と考えましょう。
参列した葬儀で辞退していることを知ったとき
ご葬家が、お香典等の辞退を申し出ているときは、直に申し出を受けましょう。強引にお香典を差し出すことは、葬家に対して非礼にあたります。
お香典を辞退している場合、お清めや返礼品は準備をしないケースがほとんどですが、葬家によっては、お清めの料理が用意されている場合などもあります。
案内されたときは、遠慮しないで席につきましょう。お清めはご供養の一環であり、かたくなな遠慮はかえって、無沙汰な行為と受け取られます。
ご葬儀への参列は、故人を悼み誠の礼を尽くす場でございます。この方程式は、如何なる時代になろうとも変わらない、人間としての感情でありましょう。
時代とともに形は変化しますが、哀悼の心を尽くす姿勢は変わり様がありません。
自分自身の思い常識を、相手様に押し付けることのない様にしましょう。特に葬儀のような伝統的な風習があるときには、柔軟な対応が必要です。
葬儀後、どうしてもお香典以外で、形として弔意を表したいとき。四十九日法要までの期間、一週間毎の法要として『初七日・二七日・三七日、、、、、』がございます。
ご自宅に、真心の表れとして、お花をお送りすることも宜しいかと存じます。
お線香をお送りする方も多いのですが、葬家によっては、煙や匂いが気になる方もいらっしゃいます。
無難に喜ばれ、誠意を感じられる品としては申し分ないと思います。