エンディングノートは、自分の人生の記録や、意思を伝えられなくなったときに遺された人へのメッセージです。最後まで自分らしく生きるための手帳だとお考えください。
ただし、エンディングノートには法的効力はありません。財産分与などの希望や、相続について決めておきたいことがあれば弁護士など法律の専門家に相談しましょう。
エンディングノートの書き方や詳細の項目についてはこちらでも解説しています。併せて参考にしてください。
【参考:【エンディングノートの書き方】希望を伝えるために日記として残す】
今回はおすすめのエンディングノートのことや、無料でダウンロード可能なエンディングノートについて解説していきます。
エンディングノートに記載したいこと
おすすめのエンディングノートをお伝えする前に記載しておきたい項目を説明します。
何冊かエンディングノートを確認しましたが、必要項目を網羅してあるものを利用してください。もちろん自分でノートを買ってきて白紙から作成しても良いと思いますし、書式は決まっていないので、自由な形で残せばよいでしょう。
エンディングノート作成時に記載してあれば良い事項は下記の点です。
- ①自分に関すること・自分史
- 氏名、生年月日から学歴、職歴に関するもの。資格や免許、結婚のことなどを記載する欄があります。
- 運転免許証やパスポートなどがあれば保管場所の記載をしましょう。
- また、興味があれば家系図や家紋、菩提寺や宗派について記載してください。普段、子供と話さないような内容も多く含まれていると思いますので、自分史を記していくのも楽しいはずです。
- 併せて幼少時代や青年時代の思い出なども書いておいても良いですし、思い出の写真があれば添付しておきましょう。
- ②医療や介護に関すること
- 健康保険証や介護保険証の保管場所。血液型やアレルギー、持病や既往歴を記載します。
- また、かかりつけの病院や担当医の氏名、臓器提供の有無も希望があれば記載しておくと良いです。
- 病気の告知や命に関わる病気の告知を家族が受けた場合、自分が告知を希望するか否かを記載してください。(非常に重要な点です)
- 介護が必要になった場合、介護をお願いしたい人、施設を希望するのか、また介護をお願いしたい人への支払い金額や財産分与で支払うのかなども決定しておく必要があります。
- 延命措置の希望の有無も重要な部分です。
- ③葬儀などに関すること
- 喪主や施主をお願いしたい人がいればメッセージと共に依頼しておきましょう。
- 葬儀の形式やどれくらいの規模を希望するか、どのような葬儀にするか、副葬品の希望があるかなど。
- 利用したいBGMや戒名の希望など。
- 葬儀の生前予約や互助会などに加入していたか。葬儀はすべて家族にお願いしたいかなど。
- 生命保険などの加入の有無。
- 遺言を作成していたら、作成の有無や保管場所、自筆証書遺言や公正証書、秘密証書遺言があれば保管場所や遺言執行者の氏名を記載しましょう。
- 葬儀に呼んで欲しい人がいれば、氏名、連絡先、住所の記載も必要です。
- ④財産に関すること
- 預貯金の有無、銀行等への預け入れがあれば金融機関名、支店名などの記載。現時点の預金金額の記載が必要です。(第三者に引き出されたときに確認ができる)
- 株式などの投資資産、貴金属の量や保管場所。
- 不動産、動産など資産。
- その他、美術品や著作権、権利収入があればその内容。
- クレジットカード、カードローンの借り入れなどの負債。
- 貸金庫、トランクルームなどの利用があれば、利用場所と鍵、保管している内容を記載しましょう。
- 生命保険、各種保険に加入していればその種類。
- 遺品になるもの。遺品分けをしたい場合は人の名前と目録を作成する。
- ⑤大切な人へメッセージ
- ペットがいれば、かかりつけの病院名や持病などを記載しておいてあげると親切です。盆栽など育てているものがあれば、利用手引きのようなものがあると良いでしょう。
- お世話になった民生委員の方へのメッセージやデイサービスなどを利用していたら担当者の方へのメッセージがあれば受け取る側も喜ぶことでしょう。
- それ以外に必要だと思うものは追記で記載をしてください。
エンディングノートを記載する適齢期は70歳前後と言われています。これ以前では早すぎて何度も書き直しが必要になりますし、70歳を大きく超えてくると認知症で判断能力が衰えてくる可能性も出てきます。
上記内容を確認いただくと、非常にこまかい内容を記載する必要があるので、やはり70歳を目途に作成しておくことが無難です。
また、書き終わったエンディングノートは信頼できる方と保管場所を共有しておくと良いです。
おすすめのエンディングノートは?
エンディングノートとしてコクヨが販売しているものもありますし、葬儀業者や地方自治体が無料で配布しているものもあります。
市区町村くらいの規模のある自治体なら役所が作成していることも多いので、一度確認してみましょう。
無料ダウンロード版だと日刊葬儀新聞が無料で配布しているものが丁寧な作りなのでおすすすめです。
【日刊葬儀新聞:ダウンロード版エンディングノート】
マイクロソフトオフィスもWordのテンプレートを無料でダウンロード可能ですが、少々作りが荒いので追加で必要項目を追記していく必要があります。
【マイクロソフト社:ダウンロード版エンディングノート】
ダウンロード版のエンディングノートをプリントアウトして利用する場合は製本テープなどで補強してください。記入後はファイルケースに入れておくと良い保存状況を保てます。
また、エクセルファイルやワードファイルに入力して保存しておくタイプのものもありますが、個人的には味気ない気がします。自筆でないと誰が作成したか分かりませんし、もし今後残るものなら手書きの方が重みもあると感じます。
私は少し前に自分の先祖に興味があって調べたことがあります。
位牌は1600年頃のものが保管されていましたが、先祖の直筆の書類は1つも出てきませんでした。もし、先祖が書いた直筆の文書が出てきたら興奮したと思います。
50年後とか100年後、もし、あなたの子孫が先祖に興味があって調査を始めてエンディングノートが出てきたらお宝です。
当時の生活がどのような感じだったかわかりますし、写真やメッセージが残っていたら、これが原因で歴史学者を目指すかもしれません。
ちなみに神保町では江戸時代のどこかの家の家計簿が古文書として数十万円の値段で売買されていたこともあるようです。時代が変わって便利になっても人間の性質は変わりません。
このような理由から、手間ではあるもののエンディングノートは手書きで残すことを推奨します。普段家族に言えないことも文章なら残せるということもあります。
エンディングノートは葬儀屋の資料請求でもらえる
エンディングノートは市区町村が無料配布していることも多いですが、下記の葬儀業者のパンフレットに同封されています。今後、葬儀を考える上でも資料は多い方が良いですし、どうしても買いたくないという方は無料でもらっても良いかもしれません。
おすすめのエンディングノートは?まとめ
エンディングノートは書き始めてみると面白いことに気づくはずです。しかし、現在70代の方がインターネットを利用しているケースは少なく、この記事をご覧になっている方はもっと若い世代だと思っています。
しかし、『子供から親にエンディングノートを書いてみたら?』とは言いにくく、どのようなタイミングで切り出すのか難しいところです。
親の子供の頃の話を知らない人が大半ではないでしょうか?このような思い出を書いて欲しいとか、将来お宝になる可能性があると説明したら書き始めてくれるかもしれません。
エンディングノートは法的効力もないため、書き方も書式も自由です。
社会問題として、遺品整理をしていたら封筒の中から現金が出てきたとか、引き出しの奥からゴールドなどの貴金属が出てきたとか、誤って遺品回収業者が現金を破棄してしまったということも現実に起きています。
また、認知症が始まった一人暮らしの老人に資産がなく、民生委員から相談された福祉事務所が生活保護を受給したところ銀行通帳が見つかり1,000万円ほど預金があったという話もあります。
元気なうちにエンディングノートを書いていれば全て防げた可能性があることです。
死を前提としたエンディングノートではなく、日記のつもりで自分の目録を作成してみるつもりで楽しんでエンディングノートを作成してもらえると幸いです。
手書きでもワード形式に入力してファイル保存しても良いと思います。自分がやりやすいもので気楽に作成してはいかがでしょうか?