人はあらゆる細胞から出来上がっています。その細胞からさまざまな組織が作り出されております。
数多くの受精卵から幹細胞を生成して〖心臓・神経・脂肪・筋肉・血管・皮膚・白血球・赤血球・血小板〗などを作り出しています。
この様な人間組織に損傷をきたした時に行われる治療法が再生医療です。
再生医療は、今発展途上にあり手探り状態ではありますが、着実に成果が認められつつあります。
今回は神経細胞について触れていきたいと考えます。
本格的な再生医療の治験始まる
神経細胞損傷の再生治療を確認
『脳卒中』『脊髄損傷』『認知症』『脳梗塞』など、直接的脳へのダメージ・脳への伝達経路としての神経細胞へのダメージを修復する手段。
上記の病は治療が難しく、呼吸困難、麻痺による半身・全身不随、言語障害、歩行困難など人工呼吸器・胃ろうなど介護が必要になり、快復は極めて難しい病気とされています。
脊髄損傷の場合、不慮の事故で引起されることも多く、脳の意識は正常であるのに神経回路に異常をきたしたため、脳からの命令に指や腕それに内臓などが自由に動かないつらい現象であります。
現在までは、局部的治療と介助で生命をつなぐ方法でしかなく、復活はあり得ないとされ、辛いリハビリテーションセンターでの訓練が唯一の希望でした。
人間の手術などの修復技術では神経細胞の復活を到底補う事は出来ませんでした。
近年注目されてきているのが、自己治癒力による再生。人間の治癒力のメカニズムや限界はいまだ解明されておりません。
しかし確実に治癒力は存在しており、効果も実証されつつあります。
何故なのかが今一つ不明ではありますが間違いのない事実を認められてきました。
方法の一つが骨髄液の移植、臍帯血からの供与などでした。
【参考;再生医療に関する申請書作成プログラム】
IPS細胞の奇跡
ノーベル医学生理学賞を受賞した、山中伸弥先生の熟成細胞の初期化を可能にし、変身可能な細胞に成長できる能力を持つIPS細胞の形成に成功。
IPS細胞の形成に成功したことにより、具体的な研究が大学病院・製薬会社・研究施設で活発に行われております。
理論とすれば、自分自身の受精卵から心臓を作り出すことも可能であるのですが、まだ時間が必要でしょう。
現在は角膜、心筋シートなど徐々に成果を示し始めております。
この技術は自分自身の受精卵から幹細胞を作り出すため副作用が最も少ない治療だと評価されています。
だがこの技術で『脳卒中』『脊髄損傷』『認知症』『脳梗塞』などの治療を行う事はまだ難しいのが現状です。
将来の希望(30~40代までの方達まで)という意味ではかなり期待が持てます。
残念ながら60代後半の団塊の世代の人達には間に合わないかもしれません?
近未来人間の寿命は120年となり、病名は老衰(事故・戦争・災害以外)のみになるやもしれません。
余談ですが、生老病死の法則からして老衰は免れない事でしょう。
第2の再生医療の可能性
日本で初めて心臓移植を行った医師と言えば、札幌医科大学胸部外科の和田寿郎先生でありました。
50年ほど前の事で当時とすれば非常に勇気のいる決断であったでしょう。
残念ながら患者様は、一旦回復すれども約2ヶ月後亡くなられました。
これは札幌医科大学の歴史の話ですが、今この大学でIPS細胞とは少し違った角度で『脊髄損傷』『認知症』『脳梗塞』『脳卒中』の治験が始まっています。
人間のメカニズムとして
受精卵⇒幹細胞⇒間葉系幹細胞⇒様々な部位を生成
IPS細胞は受精卵を変身可能な細胞に作り⇒幹細胞⇒間葉系幹細胞⇒様々な部位を生成
札幌医科大学では
幹細胞⇒間葉系幹細胞⇒様々な部位を生成までの間葉系幹細胞に注目
骨髄液の採取を行い極々微量(0.1%)の間葉系幹細胞を取り出し、2週間かけて1万倍に増殖させる。
増殖された間葉系幹細胞を点滴で体内に戻す。
人間の自己治癒力を信じて行う治療で、現在の処副作用はゼロとの報告がなされている。
札幌医科大学医療チームの話として
間葉系幹細胞の投与により、自己治癒力が神経細胞を変身させる。
その変身にも3段階に分けて観察ができる
- 神経細胞の弱った部分を強くしていく
- 神経細胞の修復を促す
- 傷ついた神経細胞を補うかたちで、新たな神経細胞の誕生
数十人の治験結果として、数週間で上記の段階で回復が認定できた。
人工呼吸器を外せた、全身の感覚が無かった人が感覚が戻った、指が動いた、水が飲めた、胃ろうを外せた、歩けるようになった。
快復までの期間は、損傷の具合⇒人にもよるが概ね神経細胞の変身により順調な回復を見せています。
この治験が国にも承認され(期間限定ですが)保険適用が可能になりました。
条件として現在は、脊髄損傷をしてから30日以内の方
今後は30日以上の方にも適応できる様にするためにも臨床が必要になってきます。
現在培養の問題もあり、年間100人程度の患者さんが限界のようです。
リハビリの段階まで進んだ患者様の改善の様子を見ると、理学療法士の先生も驚くほどの回復ぶり。